第4話後編n.e.o
プロフェッショナル
プレミアム ジンジャーエール
登場人物
Bar Loop
岩永大志
コックソース株式会社
今村隆虎
株式会社 友桝飲料
友田諭
一人一人の声に応え続けて、91年。
理想のレシピができたからといっても、それは小さな鍋の中でのこと。量産となると話は別です。次に岩永さんが足繁く通ったのは、昭和2年(1927年)創業のソースメーカー「コックソース株式会社」。ここで量産化のためのジンジャーシロップを作ります。
コックソースは、地元にいる人であれば知らない人がいないほどの老舗メーカーです。元々は個人商店に卸すソースがメインでしたが、高度経済成長期には業務用が中心に。かつて福岡に多く点在した醤油やソース工場が次々と減っていく中で、こつこつと業務向けのソースづくりを守り続けてきました。
「なぜ、ソースなのにシロップを?」と思われるかもしれませんが、代表を務める今村さんは言います。「時代の流れで色々な要望がでます。私たちは要望があれば、それに応えていくようになりました。今は、各地の農家さんや大学、企業から相談を受けて、大きなメーカーにはできない少量生産に対応できる強みを活かしています。neoもそうです」。一人一人の声に応えていく、それは友桝飲料と共通する想いです。
時代の変化を読み解き変わろうとするのではなく、ただ目の前にいる人の要望に丁寧に耳を傾けプロとして誠実に応えていく。今村さんと岩永さんの悪戦苦闘が始まります。
苦戦つづきの、大科学実験。
岩永さん渾身のオリジナルのレシピは、単に生姜を煮立てただけではなく、そこには絶妙なバランスでスパイスを加えたものでした。少量のものを大量に作り再現させることは難しく、最初に作ったシロップは大失敗に終わったのだとか。「もう、こんなに大量のシロップ、どうしようかと思いましたよ(笑)どのタイミングでどのくらいの生姜を入れて、それをどのくらいの時間かけて煮詰めて引き出すべきか、ミリ単位、分単位の世界です。それはすぐに味見しても分からないことなんです。何度も繰り返しましたよ。こうなるともう実験ですよね、科学実験のような…」
今村社長も「それを聞くとよくできたなと思いますね~。だんだん思い出してきましたよ(笑)。工場が作るものというのは、保存、工程を含めて考えないといけません。料理人さんが作るものの通りできればいいのだろうけど、ほら、あまりにも工程が複雑すぎるとコストの高いものになってしまいますから」。製造として、どうバランスをとっていくか…今までの経験と知識で、一つ一つ問題を乗り越えていったと言います。
「そういう意味では、飲料の原液づくりは初めてでしたが、これまで培ってきたソース製造の経験が生かせたと思いますね」と今村さん。こうしてジンジャーエールの原液となる、香り豊かなジンジャーシロップが完成したのです。
新発想で生まれた、ジンジャーエール。
アンカーとしてバトンを引き継いだのが、友桝飲料です。大量の原液から炭酸飲料を作っていきます。ここでも炭酸を含んだジンジャーエールの味の変化を機敏に察知した岩永さんは、福岡に持ち帰り再び調整します。
「飲むだけでは分からないから」とバーでモスコミュールを何種類か作り比較検討。友桝飲料のスタッフとともに風味、酸味、苦味、炭酸ガス含有量などの研究を重ねていき、季節がぐるっと一回りしたころ、ようやく「n.e.o プロフェッショナル プレミアム ジンジャーエール」の製造販売にこぎつけたのです。
実際にジンジャーが瓶詰めされて、工場のラインに乗っているところを見た時のことを忘れないと岩永さん。
「飲料ってこうやって作っていくんだって勉強になりました。できるだけ着色とか保存料とか入れない方向で、できるだけ自然に。という私のこだわりは友桝飲料じゃなかったら叶えられなかったと思います」。それを聞いて少し照れたような友田氏でしたが真摯に応えます。
「いや、数種類の香辛料を加えてじっくりと煮る、もうこれは調理ですよね。こんな発想は技術者だけでは到底できませんでした。それまでの飲料業界にはなかったものです。ご縁があって岩永さん、今村さんとチームを作ることができ、皆さんと1からつくれたことが嬉しいです。もうこれは私たちの誇りですね」。
発売された「n.e.oプレミアムジンジャーエール」は、多くのプロバーテンダーや飲食店から、一般の方々まで高い評価をいただき、その後も「原液がほしい」というリクエストに答えて「ジンジャーシロップ」や「プレミアムトニックウォーター」、「ジンジャー梅酒」など次々と新展開をみせています。
あたらしい「ふつう」をつくるために。
岩永さんがバーテンダーを務める「Bar Loop」では、n.e.o プロフェッショナル プレミアム ジンジャーエールを使った本格的なモスコミュールが楽しめます。「物事は、すべて指先から出る“気”で作られています。技術はもちろんですが、一つ一つの作業に想いを込めることで、カクテルはさらに美味しくなるんですよ」と語る岩永さん。まるで指先から魔法をかけているかのように、流れるような美しい所作でカクテルが生まれます。落ち着いた大人の雰囲気漂う中、本式の銅のカップでいただく、モスコミュール。ジンジャーの香りとスパイスから生まれるインパクトもさることながら、喉を通りすぎる瞬間、飲み干した瞬間、それぞれ異なる印象を与えてくれます。
岩永さんは「自分は普通のことを普通にやれるように、バーテンダーにとって選べる選択肢を一つ増やしただけ」と言いますが、普通のことほど難しいものはありません。人の数だけ色んな普通が存在します。ジンジャーが入ったジンジャーエールであること、本来の美味しいモスコミュールを一杯つくること。プロバーテンダーにとっての普通が、飲料業界の普通を塗り替え、新しい普通が生まれたのです。撮影後も、カウンターごしの炭酸談義は止まりません。「それじゃ、またサンプルを持っていきます!」と次の炭酸計画を企てる三人。これからも理想とする普通を目指して、プロバーテンダー岩永さんの監修は続いていきます。
Bar Loopバーループ
〒810-0801福岡県福岡市博多区中洲4-1-1 1F
092-282-8008
営業時間 PM7:00-AM4:00
飲むだけじゃない、食べても美味しい! トモマス炭酸クッキング
生姜エキスたっぷりのn.e.oジンジャーエールだからできる、特別レシピをご紹介。
n.e.o プロフェッショナル プレミアム ジンジャーエールで豚肉をソテー。仕上げに醤油でさっとからめるだけ!
生姜がお肉の臭みを取り、炭酸でより柔らかくジューシーな豚肉に仕上がります。
レシピ協力: 料理家 広沢京子さん
豚のn.e.o照り丼
材料(2人分)
- 豚肩ロース肉(トンカツ用)
2枚
- 塩
小さじ1/4
- 薄力粉
適宜
- ジンジャーn.e.o
50cc
- 醤油
小さじ1
- にんにくオイル
-
小さじ2
にんにく2かけをみじん切りにしてオリーブオイル(ピュアオイル)100ccにつけておいたもの。
- 菜の花
1/2束
- ごはん
適量
作り方
- 1.
豚肉の筋を包丁で切り込みをいれる。塩をふり下味をつける。茶こしを使って全体に薄力粉をふる。菜の花は軸を切り落とす。
- 2.
フライパンを中火弱で熱し、にんにくオイルを加える。豚肉を並べ、あいているところに菜の花を加え塩を少々ふり焼く。
- 3.
豚肉は焼き目がついたらひっくり返し両面焼き、火が通った菜の花は一度取り出す。ジンジャーn.e.oを加え、半分くらいになるまで煮る。醤油をまわし入れ、焦げやすくなるのでフライパンをまわしながら絡めていく。照りがでてきたらok。
- 4.
器にご飯を盛り、3の豚肉を食べやすい大きさに切りのせ、胡椒をふり、菜の花をそえる。
余った
n.e.oで
もう一品!
キャベツのn.e.oマリネ
材料(2人分)
- 紫キャベツ(春キャベツでもok)
2枚
- 塩
少々
- neo
少々
作り方
- 1.
キャベツは千切りにし、塩を加え手で揉む。
- 2.
しんなりしたらneoを少々加えさっとあえる。
これまでの のみもののよみもの
-
第7話「frula フルーラ」
「カラン、カラン」とビー玉を鳴らしながら飲む、ラムネ。
夏の風物詩であるラムネが時代とともに減りつつある今、
ひそかに若い人達の間で人気を集めているのが、「フルーラ」です。
それは式を控えた花嫁さん達の手によって広がっていったのですー -
第6話「蛍の郷の天然水スパークリングと強炭酸」
清らかな水源に恵まれた蛍の名所、佐賀県小城市。
自然豊かなこの場所に、友桝飲料の本社工場はあります。
ここには、炭酸のこれまでとこれからが詰まっていました。
シュワシュワと消えてなくなる炭酸に込めた消えない想いとは… -
第5話「nocoritaと能古島サイダー」
福岡の都心からフェリーでわずか10分のところにある、能古島。
この島で愛され続けている地サイダーが「能古島サイダー」と
「nocorita」です。そこには地震にも負けない、
島の小さなカフェから生まれた物語がありました… -
第4話「n.e.o プロフェッショナル プレミアム ジンジャーエール」
全国のレストランやバーなどで多くの支持を得ている
プロバーテンダー岩永大志さん監修の「n.e.o」シリーズ。
開発するにあたり、岩永さんが足繁く通った場所、
それは、博多の小さな老舗ソース工場でした… -
第3話「Café&Meal MUJIの
クリームソーダ」あざやかな緑色のソーダにソフトクリームが浮かぶ。
昔ならどこの喫茶店でもお目にかかれた、クリームソーダ。
最近では、あまり見かけなくなったあの懐かしい味が
Café&Meal MUJIにあるのです。昔とどこが違うかというと… -
第2話「指宿温泉サイダー」
砂蒸し温泉施設、ホテル、JR九州「特急・指宿のたまて箱」など
指宿はもちろん全国各地に広がっている「指宿温泉サイダー」。
発案者は、長崎県出身、西郷さん似の?倉本さん。
ある日、指宿ならではの手土産がないことに気がついて… -
第1話「こどもびいる」
「こどもだって飲まなきゃ、やってらんねーよ」
というキャッチコピーで飲料界にデビューしたのは、
見た目はビール、中身はリンゴ!の「こどもびいる」。
実は、こどものためのびいる、じゃなかったようで… -
次回のよみもの
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