第7話後編「frula フルーラ」
登場人物
株式会社 友桝飲料
横松鈴菜
有限会社ウィロー
グラフィックデザイナー兼イラストレーター
浅羽八智代
いつの日か売れると信じて。
はじめは「フルーラ」という新しいラムネをどうやって売ればいいのか分からず苦戦していました。スーパーのワゴンにフルーラが山積みになることも。でも販売をやめようとは思わなかったそうです。大切な秘蔵っ子、宝物として作り続ける。それは少ないロットでの生産を可能にした独自のシステムがあるからこそできる、友桝飲料の強みなのかもしれません。「内定式や入社式の時などに新入社員に友桝のいろんな商品から好きなものを選んでいいよと言うと女性社員はこのフルーラを結構な確率で選ぶんですよ。ギフトセット用に作られたBOXもあるんですが、これも最近デザインされたような鮮度のあるデザインで。フルーラには時代や世代に関係なく愛される普遍的な美しさがあるのだと思います」と横松さん。10年以上経っても色あせないデザイン。細部にこだわりをもって確かな商品を作れば、市場は後から付いてくる、そう信じていたのです。実際、フルーラは数年後、思わぬところで注目されるようになります。
結婚式のプチギフトに「フルーラ」を。
それが、ブライダル市場でした。式を控えた花嫁さんがプチギフトとして「フルーラ」を選び、
手作りでタグをつけて当日ゲストに手渡しする様子をSNSにアップし始めたのです。
それを見た人がまたプチギフトとしてフルーラを選び、どんどんと輪が広がっていったのです。
いつの間にか商品が勝手に一人歩きしていく、想定外の動きでした。
八智代さんも「カフェとかオシャレなスーパーでって考えてたけど、結婚式場は浮かばなかったし、そもそもその頃(開発時)はプチギフト自体がなかったもんね。インスタで『このストライプが可愛い』というコメントを見た時は、ほらね!って」と笑います。結婚式のプチギフトは式に来てくださったゲスト、老若男女に喜ばれるものが好まれます。「フルーラ」は年配の方にはどこか懐かしく、若い方には新しいオシャレな飲み物として、ピッタリだったのかもしれません。
こうして、普通のラムネが「フルーラ」に生まれ変わり、花嫁さん達の手によって美味しさだけじゃない「楽しさ」や「喜び」、さらには「しあわせ」や「ありがとう」といった想いを伝えるギフトとして広がっていったのです。
次は「フルーラ」の世界デビュー!?
今や「フルーラ」は結婚式だけでなくカフェでの取り扱いも徐々に増えています。新しい市場を拓いた次なる目標は、世界デビューです。現在、ラムネの市場が海外に広がっています。それは日本食のお店などで飲む特別な飲み物でなく、スーパーでも買える、もう少し生活に近いところで飲まれているようです。「おそらく日本の文化を感じる飲み物として、また美しい瓶のオシャレな飲み物として、これから浸透していくのではないでしょうか。だからこそ今、ラムネ=トモマスになれるように、まずはアジア圏からフルーラやスワンラムネを広げていきたいんです」と語る横松さん。八智代さんも「それじゃ、忍者?家紋、富士山とか?イラストを載せたらカッコいいかもねー」とアイデアが飛び出してきます。
昔のラムネを華麗に蘇らせた「フルーラ」。ラベルにある王冠マークは、当時「フルーラ」のために作られたものでしたが、現在、友桝飲料のCI(コーポレートアイデンティティー)になっています。それは「フルーラ」のように、これまでの歩みを大切にしつつも状況に甘んじず、常にチャレンジし続けよう!という強い意志の表れなのかもしれません。
今回ご紹介したのみものはこちら!
これまでの のみもののよみもの
-
第7話「frula フルーラ」
「カラン、カラン」とビー玉を鳴らしながら飲む、ラムネ。
夏の風物詩であるラムネが時代とともに減りつつある今、
ひそかに若い人達の間で人気を集めているのが、「フルーラ」です。
それは式を控えた花嫁さん達の手によって広がっていったのですー -
第6話「蛍の郷の天然水スパークリングと強炭酸」
清らかな水源に恵まれた蛍の名所、佐賀県小城市。
自然豊かなこの場所に、友桝飲料の本社工場はあります。
ここには、炭酸のこれまでとこれからが詰まっていました。
シュワシュワと消えてなくなる炭酸に込めた消えない想いとは… -
第5話「nocoritaと能古島サイダー」
福岡の都心からフェリーでわずか10分のところにある、能古島。
この島で愛され続けている地サイダーが「能古島サイダー」と
「nocorita」です。そこには地震にも負けない、
島の小さなカフェから生まれた物語がありました… -
第4話「n.e.o プロフェッショナル プレミアム ジンジャーエール」
全国のレストランやバーなどで多くの支持を得ている
プロバーテンダー岩永大志さん監修の「n.e.o」シリーズ。
開発するにあたり、岩永さんが足繁く通った場所、
それは、博多の小さな老舗ソース工場でした… -
第3話「Café&Meal MUJIの
クリームソーダ」あざやかな緑色のソーダにソフトクリームが浮かぶ。
昔ならどこの喫茶店でもお目にかかれた、クリームソーダ。
最近では、あまり見かけなくなったあの懐かしい味が
Café&Meal MUJIにあるのです。昔とどこが違うかというと… -
第2話「指宿温泉サイダー」
砂蒸し温泉施設、ホテル、JR九州「特急・指宿のたまて箱」など
指宿はもちろん全国各地に広がっている「指宿温泉サイダー」。
発案者は、長崎県出身、西郷さん似の?倉本さん。
ある日、指宿ならではの手土産がないことに気がついて… -
第1話「こどもびいる」
「こどもだって飲まなきゃ、やってらんねーよ」
というキャッチコピーで飲料界にデビューしたのは、
見た目はビール、中身はリンゴ!の「こどもびいる」。
実は、こどものためのびいる、じゃなかったようで… -
次回のよみもの
現在準備中です。